2人目:年季の入ったおじさんサポーター
Take Kuboの契約延長についてどう思いますか?
彼の契約延長を喜ばない人間なんてここにはいない。
だがこの契約延長を言葉通り受け取って喜んでいいのかどうか迷うっていうのも本音だ。
今シーズン久保が見せているプレーはまさにワールドクラスだ。
このクラブでは収まりきらないって思ってしまうくらいにな。
だから彼が本当にここに残り続けてくれるのかっていう疑問はある。
金持ちクラブも高額で取りに来るだろう。
さらにはバルサやマドリーにも多少なりとも恩を感じているであろう久保の境遇を鑑みると疑問は膨らむばかりだ。
俺たちはアトレティックみたいに純血主義を保持しているわけではない。
だがバスクの血を優先、優遇する傾向にあるクラブだ。
下部組織で育った選手を積極的にトップチームに送り出し、華やかな舞台でプレーさせることを至上の喜びとしているサポーターも多い。
俺たちはそういうクラブだ。
ほんで久保の話に戻るが、彼は国で一番のクラブになるために使われるような力を持った選手だろ。
ここでその力を振るってラ・レアルを支えてくれるっていうのは非常に魅力的だし、ありがたいことだ。今シーズンは彼のおかげでCLという舞台で夢を見ることが出来ているしな。
だが最高に美しい久保のプレーと同じくらいの価値を、下部組織で育った選手達の躍動にも感じてるんだ。
久保がこのクラブを選んでくれたおかげで、このラレアルを日本の人にも認知してもらえるようになり、ファンにもなってもらえた。
Takeのユニフォームを着てこの周辺を歩いている日本人を本当によく見るようになった。しまいには日本企業のスポンサーまでついて俺達をサポートしてくれるようにもなった。
これは本当に素晴らしいことで、このような状況をもたらしてくれた久保には俺達含めこのクラブのサポーターの皆が感謝している。
だが、それでも俺はこの久保のクラックぶりと下部組織の子供たちの躍動を同列に並べてしまう。だから俺は仮に久保がバロンドールを獲得したとしても俺の心の中の序列は変わらないと思う。
どの選手を売ってもいいから久保をここに残せ、というような思考には至らないだろう。
優勝できるならしたいしそのようなチャンスが巡ってきたならば全力で挑むべきだが、そのために愛する子供たちを生贄にするなんてことは許されない。
という話をしてもらった。
彼が言うようにこのクラブはバスクの血を引いた選手を中心にチームが形成されている。
昔はアトレティックのようにバスク純血主義を掲げてチーム作りをしていたこともあり、組織の人間やサポーターにもそのような精神が未だに根付いている。
バレネ、スビメンディ、アリツとかはバスク州のサン・セバスチャン出身。
つまりは地元中の地元の選手たちがチームの顔となって俺達マドリーとかとやり合ってるわけ。
このバスクの血に対する愛着はどんなトッププレイヤーが素晴らしいプレーで誘惑したとしても引きはがすことは出来ないだろうし、そうする必要性もないだろう。
こういうこだわりを持ってチーム作ってるクラブはホンマ一握りやからな。
かっこええわ。
イケおじから話を聞いた俺たちは「あなたの心の中にある燃えるように熱い炎は一生涯消えることはないでしょう」というイキリセリフを言い放ってその場を離れさせてもらった。
恥ずかしいわ。
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